常時満水 直径13m高さ3m浮上分離槽の更新工事

設備の抱える問題
工場運転時には常時満水状態となっている排水処理槽の更新工事です。年間を通してメンテナンスのために水を抜ける期間が数日しかなく、現況の状態把握が困難な設備でした。
槽内部を分離する内筒鉄板の腐食更新(当板補修)は、数日間の定修期間に実施されていましたが、腐食劣化が激しく進行し、攪拌羽の稼働にも支障が見られたため、更新が必要な設備でした。しかし、不具合の原因解明や腐食部の更新計画策定が難航していました。

現況データ化・解析・計画・設計
水を抜ける定修期間に、3Dスキャンによる現況把握とデータ化を実施しました。処理槽全体を約半日で計測し、採取した点群データを3Dモデル化して、運転時に起きていた不具合の原因が何であるかを、形状の変形を数値化(歪み、変形、攪拌軸の倒れ など)することで明らかにしました。
数値化したデータと建設当初の図面をもとに改修計画を策定しましたが、建設当時から幾度も更新が行われていたため、現況と図面には多くの相違がありました。更新計画では構造強度の検討や既設の耐荷重計算を行い、更新部材の設計を進めました。

モデルを元にした工事計画・現地工事
改修工事期間には制約があったため、事前に足場設置・解体・新設・復旧のシミュレーションを行い、工事計画に沿った分割形状で部材製造を行いました。工事着手前の各業者との打合せでは、3Dモデルを用いて工事説明を行い、計画の見える化を図ることで、工事全体の概要と工程イメージの共有を行いました。
実際の工事においては、工期より3日前に完工し、点検・試運転ともに指摘や問題なく完了しました。

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